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EMI対策の基本 ④|シールドとグランドの考え方

EMI Basics 4: Shielding and Grounding Fundamentals
By Published Updated 初出 2023.10.21(改稿) 2 min read AI支援:旧記事(2023年)をAIが再構成・加筆。編集者確認前
Summary
  • シールド効果は反射損失と吸収損失の和で、高周波では薄い導体でも十分に効く
  • 実際のシールド性能を決めるのは材料より開口部・継ぎ目・ケーブル引き込み口の処理
  • グランドはノイズ電流の戻り道であり、連続したプレーンとループ回避が基本
Why it matters

シールドとグランドは機器単体のEMC適合だけでなく、通信設備や制御盤、データセンターの電磁環境対策に共通する基礎技術です。日本のインフラ設備で使われる筐体・ラック・配線の設計判断は、ほぼこの二つの原理に立脚しています。

Japan Impact
影響領域通信設備産業制御データセンター
判定根拠:筐体・ラック・配線設計の指針であり、国内インフラ設備の設計品質に間接的に関わる
Image: ElectroSphere(AI生成イラスト)

第4回は、放射ノイズ対策の中心であるシールドと、すべてのEMI(電磁干渉)対策の土台となるグランドを扱います。どちらも「金属で囲む」「アースにつなぐ」と単純に理解されがちですが、効果を決めているのは材料や接続の有無ではなく、電流と電磁波がどこを通るかという物理です。

シールドの原理

導体の壁に電磁波が当たると、空間と導体のインピーダンスの違いによって大部分が表面で反射され、内部に入った分は導体中で減衰します。前者を反射損失、後者を吸収損失と呼び、その合計がシールド効果(dB)です。高い周波数ほど反射も吸収も大きくなるため、放射ノイズが問題になる帯域では、金属箔や導電性塗膜のような薄い導体でも十分な効果が得られます。

逆に、低い周波数の磁界は反射も吸収も小さく、導電性だけでは遮れません。この場合は透磁率の高い材料で磁束を迂回させる方法をとります。電界か磁界か、どの周波数帯かによって適した材料が変わる点は、第7回の材料選定で改めて扱います。

性能を決めるのは開口部

実際のシールドケースの性能は、材料のシールド効果ではなく、開口部と継ぎ目で決まります。スリットや隙間はその長さがノイズの波長に近づくほど電磁波を通しやすくなり、細長い隙間は面積が小さくても大きな漏れになります。放熱穴や表示窓は、一つの大きな穴より小さな穴の集合にする方が漏れが少なくなります。

  • 継ぎ目:蓋と本体の合わせ面は塗装や酸化膜で導通が途切れやすく、導電性ガスケットや多点のねじ止めで連続性を確保します。
  • ケーブル引き込み口:ケーブルシールドは筐体に全周(360度)で接続します。細い線(ピグテール)で一点接続するとそこがアンテナになります。
  • コネクタ:シールド付きコネクタは筐体との接触面が導通していて初めて機能します。

グランドの考え方

グランドとは、回路の基準電位であると同時に、あらゆる電流の戻り道です。高周波の電流は、抵抗が最小の経路ではなく、往路の直下などインピーダンスが最小の経路を戻ろうとします。連続したグランドプレーンを設けるのは、この戻り道を往路のすぐ下に確保し、ループ面積を最小にするためです。プレーンに切れ目があると戻り電流が迂回し、大きなループとなって放射と結合が増えます。

グランドループは、二点以上でつながったグランドの間に電位差や外部磁界があるとき、そのループに不要な電流が流れる現象です。低い周波数では一点接地で回避し、高い周波数では逆に多点で低インピーダンスに接続して電位差そのものをなくすのが一般的な考え方です。基板のグランドと金属筐体は複数点で短く接続し、筐体がシールドとして働くようにします。

なお、EMC上のグランドと、感電防止のための保安接地は目的が異なります。両者は最終的に接続されますが、保安接地線は長く高周波ではインピーダンスが高いため、ノイズの戻り道として当てにはできません。

まとめ

シールドの実力は材料ではなく開口部と継ぎ目と引き込み口で決まり、グランドの実力は接地の有無ではなく戻り電流の経路で決まります。この二つを押さえれば、筐体・ラック・配線の設計判断の多くは原理から導けます。次回は、これらを組込みシステムに適用する際の勘所を扱います。

更新履歴:2026.09.28 00:29 JST 誤りを報告する →
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